音楽系女子のコン活事情

クラシック音楽に興味はあったけど、機会がなかったあなたへ。【コン活(=コンサート鑑賞活動】おすすめします

音大生に告ぐ。「音楽を愛する人のためのプレゼンテーション会」に聴衆参加しよう!

 

突然ですが、 「音楽を愛する人のためのプレゼンテーション会」をご存知ですか?

 

ongakupresentation.wix.com

 

www.facebook.com

 

音楽ライターの飯田有抄さんが発案した、この会。

通称「音プレ」といいます。

先月24日に第1回が開催され、聴衆として参加してきました。

イメージは、音楽好き版TEDだそう。

 

「音楽好き」という共通項でつながる人々が集い、

暮らし・仕事・趣味・奉仕活動などを通じて得られた様々な

発見・閃き・気付きを共有することをねらいとしています。

プレゼンターと聴衆が互いに創造性・想像性を刺激し合い、

一人一人の中に新しい気付きを誘発する場です。

 

ーー音楽を愛する人のためのプレゼンテーション会サイトより

 

音プレの登壇資格は、「音楽を愛すること」のみ。

年齢も職業も、制限はありません。

音楽にまつわる話でなくてもいい、ということだったのですが

やはり音楽好きたちの人生には、音楽が深く染みこんでいました。

 

第1回は、

音楽ライター、会社経営者、通訳、ピアノ講師、音大卒の会社員、音楽ホール広報、不妊カウンセラーの7名が登壇。

 

 

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(写真は福田成康さんのFBよりお借りしました。)

 

タイトルにどどんと書いている通り、この「音プレ」、

現役の音大生や音大を志す高校生たちに、ぜひとも聴衆参加してほしいと感じました。

 

 

登壇者の職業で一目瞭然ですが、音楽業界のあらゆるお仕事をされているかたが揃っています。

業界で仕事をしていなくても、音楽を愛し、様々な手段で音楽と関わっているひとの話が聴けます。視野が一気に広がりました。

 

企業説明会のようなポジショントークではなく、ひとりの人間としての言葉が聴けるのは、とても貴重ですし、またとないチャンスです。

 

しかも、さまざまな話をたてつづけに聴くので

私の脳内でどんどんシナプスが繋がり、新しいアイディアが湧き続けていました。

さらに、「あの人の話がもっと聞いてみたい!」という欲が出てくる出てくる。

その欲や意見を、懇親会で登壇者に直接ぶつけることもできました。

 

まさに「新しい気付きを誘発する」、刺激だらけの3時間。

 

「もしかして、私のやりたいことって演奏じゃないかも?」と考え始めた学生にとって、

自分のキャリアプランを練り、ロールモデルを探すのに最適な場だと断言できます。

 


プレゼンの様子は、近日動画が公開されるそうなので、

多くの人に見てほしいです!

ここまで学生へのおすすめ理由を羅列しましたが、どんな年齢層でも、

クラシック音楽を愛するひとも、ふだんあまり接点のないひとも、

いろんなことを考えるきっかけを与えてくれるはずです。

 

 

プレゼンテーションを聴いて、特に印象に残った言葉を

厳選して2つ取り上げてみます。

 

「知らなくてもいいじゃない」

 

こちらは音楽ライターの大先輩、オヤマダアツシさんの言葉。

クラシック音楽を専門的に学ばずライター業を始め、「マニアあがり」という出自がコンプレックスだったオヤマダさんは、一時期仕事を辞めることさえ考えていたそう。

そんなときバイエルのCDと出会い、聴くうちに「"知らないこと"を恥じなくてもいい」と、自身を肯定できるようになったといいます。

 

「オヤマダさんほどの人でさえ、そんなことをお考えになるのか」と驚きましたが、お話を聴き、私が抱えていた悩みまで救われました。

 

私は高校から音楽科で、桐朋学園大学を卒業しているので、

「音楽を専門的に学んできた人」に該当します。

しかし、肩書に見あうほどの知識もなければ、音楽理論も決して得意ではない。

ピアノ専攻だったとはいえ、どうしてもっと勉強に没頭しなかったんだろうと今は後悔しています。

 

オヤマダさんの言う「マニアック」な人、たとえばオーケストラサークルや音楽同好会に所属する非音大学生のほうが、私なんかより断然、音盤や演奏に詳しい。

同世代の非音大出身者たちの詳細なコンサート感想文を読んでは、自身へのハードルを勝手に上げ、劣等感をこじらせていました。

 

でも、その言葉を受けて

「そうか、今知らないのはしょうがない。まずは現状を受け入れ、認めることから始めよう」と、自然と思うことができました。

(オヤマダさんとは、人生経験もキャリアも「月とすっぽん」なのにおこがましい限りですが…。)

 

 

「聴き手はイチかゼロかではなく、グラデーションで存在する」

 

ミューザ川崎シンフォニーホール広報、前田明子さんの言葉です。

 

「初心者」と「常連」という二極で捉えられがちな、クラシック業界のお客さんたち。

しかし、ファンを増やすカナメとなるのは「2回目に足を運ぶ人」であり、

二極のどちらにもカテゴライズできないお客さんが存在することを忘れてはいけないとおっしゃっていました。

 

「クラシック音楽のファンを増やしたい」と考えられた、サッカー業界の事例を応用したプロモーションや、お仲間サークルの提案など…

前田さんの口から語られる広報案は多角な視点をもっていて、魅力的で共感するものばかり。

これらの提案がすべて実現されるために、私はこれからどのようなキャリアを積むべきなのか。明確な目標を得て、考え直すきっかけもいただきました。

私にとってのロールモデルがまた一人増えて、とても興奮しています。

 

 

 

このようにですね、プレゼンの内容を全部「自分ごと」として捉えました。

 

このほかにも、

ピティナの専務理事である福田成康さんの、「音楽(好きなこと)で食っていきたいなら、まず承認要求を満たせ。聴き手を本気にさせるためにお金を受け取るべきだ」という意見はとても心に響いたし、

 

ピアノ講師のますこしょうこさんのレッスン方法は、創意工夫と愛に溢れていて勉強になることだらけだったし、

 

そのいっぽうで河本美和子さんの話した「母との確執」では、ピアノレッスンの負の側面が浮き彫りになり、同じ「ピアノレッスン」でもここまで違うのかと愕然としたし、

 

通訳・翻訳家の藤本優子さんの「訳するときに一番大切にしていることは、(対象に)いちばん美しい姿を与えること」という言葉は、演奏家も編集者にも通じるものがあるなと思ったし、

 

不妊カウンセラーの池田麻里奈さんが教えてくれた、乳児院の現状にショックを受け、音楽で何かできないものかと考えさせられ、

 

…と、

プレゼンターそれぞれの言葉を取り上げていたら、1冊の本が書けてしまいそう。

というか、何度でも振り返りたい内容ばかりで

終了後、「ぜひ電子書籍にしてください~」と飯田さんに懇願しました。

何度も言いますが、動画は近日公開されますから!!見てね!!

 

 

いずれは私も壇上に呼ばれる日がくるよう、たくさんの経験をして、たくさん考えて、「話を聞いてみたい」と思われる興味深い人間になりたいなと思いました。

 

飯田さん、素敵な企画を本当にありがとうございます!