大人になったキミへ~『音の教養』という開かれた音楽室
学生時代に音楽室にいた、音楽の先生ってどんな人でしたか?
ためしに「音楽の先生 イメージ」で検索すると、
まあ………いろいろ言われていますね。はい、濁してみました。
先生だって人間。生徒だって人間。
音楽の先生に限らず、誰にだって自分と相性の合う先生、合わない先生がいたかと思いますが、
先生とそりが合わないがために、その教科まで嫌いになってしまったなんて悲しい経験がある人もいるはず。
私の中学時代、音楽を受け持っていた先生は"学校一怖い"と言われていた女性で、
彼女に反抗しようとしたヤンチャな男子生徒たちと、ヒステリックに怒鳴る先生との闘いで授業は地獄絵図。
それを毎回目にしていた私は、「音楽の先生には、なれない…」と思ったのでした。
なぜこんなことを思い出したかというと、
最近ついに、理想の「音楽の先生」を見つけたからなんです。
チェロ奏者の、渡部玄一さん。
渡部さんが企画・出演されている、音楽番組を観て
「これは!」と衝撃を受けました。
『音の教養』 ~あなたのためのクラシック音楽~|シアター・テレビジョン
スカパー内の局で、今まで知らなかったのが悔やまれます…!
(わたし、BSさえ加入してないんです。クラシック音楽の公演たくさん放送されているのに…。)
クラシック音楽についての番組って、だいたい作曲家や楽曲の情報、または奏者へのインタビューが中心で、それ以上でもそれ以下でもないと思っていたんです。
でもこちらの番組は、たとえばバッハについての回だったら
まず当時のヨーロッパの様相を、歴史的な出来事から当時の中心的思想まで、渡部さんがゆったりとした口調で語り掛けてくれます。
その中で、バッハがどのような立ち位置だったのか、バッハが曲を捧げたフリードリヒ大王はどのような少年時代を送り、晩年はどうだったのかーーー。
さらに渡部さんのトークの中にキーワードが出ると、画面上にテロップと解説が出てくるので、要所をおさえて知ることができます。
たった30分視聴しただけで、作品や作曲家の知識だけでなく、あらゆる知識欲がまんべんなく満たされていたことにびっくりしました。
渡部さんが30分間ずっと話している番組…というわけではなく、
トークに合わせて、毎回3曲ほど音楽が紹介されます。
大きなホールでもなく天井の高いスタジオでもなく、
シンプルなお部屋(に見える場所)で演奏する奏者たちと、それを近い場所から捉えるカメラ。
音楽室にプロの演奏家が出張で来たとき、生徒たちがまじまじと演奏の様子を観察しているかのようなシチュエーション。視点の距離感も新鮮で、子どものような好奇心が刺激されます。
最初に中学時代の思い出を挙げましたが、中学生、とくに私が見てきたようなヤンチャな男の子たちには少し難しい内容かもしれません。
でも、そんな男の子たちが人生経験を重ねて大人になり、改めて本当に学びたくなったとき、
音楽室でこんな授業が待っていたら、当時感じることのできなかった「音楽にわくわくする気持ち」を改めて体験できるんじゃないかな…と胸が熱くなりました。
実は先日、この番組が初めてコンサートを開催したので行ってきたのですが、
番組のお話だけで長くなりすぎたのでまた次回に。
(写真は「ともことゆり子の小説の部屋」さんからお借りしました。)
追記。
番組、ニコニコ動画でも視聴できるみたいです♪