音楽系女子のコン活事情

クラシック音楽に興味はあったけど、機会がなかったあなたへ。【コン活(=コンサート鑑賞活動】おすすめします

1年半修行してました。そして(近況報告)

 

ご無沙汰しています。鷲尾です!

 

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ナンと1年半ちょっと、更新に空白が出来てしまいました…

自分でもその延びっぷりにびっくりです。

……まず、生きてました。元気そうでしょ。

 

 

簡単に、それっぽく言うと

いわゆるコン活疲れしてました。言い出しっぺのくせに!

いや正確にはコン活してたんですけど…発信するのに迷いがあったというか、ね。

これからは前のペースくらいで書いていけたらな〜と思っています。

 

1年半も経てばいろいろ状況に変化はあるわけで、なるべく簡潔に済ませますが

箇条書きにてご報告させてください。

その前に、私が1年半前に何者だったか、何をしていたのかをちょっと振り返ります。私自身が忘れかけているので…笑

 

  • フリーでクラシック音楽ジャンルのライターをしていた(ジャンルはプログラムノート執筆、アーティストインタビュー、コンサートレポート)
  • 依頼を頂けたらコンサートの司会も行なっていた
  • 「クラシックに興味はあるけど何から聞いていいか分からない」という人向けに縁結びと称した草の根活動を企画実行していた
  • たまにピアノも弾いていた(主に伴奏、サロンでのソロ演奏など)
  • Twitterとブログを中心に、SNSに精力的に取り組んでいた

 

うん、改めていろいろ変わりましたからざっくり報告しますね。

まず、最も大きな出来事について。

 

  

以下説明します~!

 

去年3月、株式会社森音楽事務所に就職し、今年7月に退職しました

 

最後に更新したコンサートレポート記事2つがきっかけとなり(※うちひとつは先方の都合により非公開記事となりました)

取材アーティストたちの所属先であった、

株式会社森音楽事務所の森社長にお声を掛けていただき

2016年3月から2017年7月末まで、社員として事務所で働かせていただきました。

 

業務内容は、事務全般からアーティストマネジメントファンクラブ運営コンサートスタッフステージマネージャーイベント企画….…などなどなどなど

まさしく現場主義で、右も左もわからない頃から

多岐にわたる業務を任せていただきました。

 

以下はマネージャーアカウントで呟いた、業務のほんの一部。

 

 

ほんの一部と言いつつ、すべての仕事に思い入れがあって

思わずたくさん貼ってしまいました……笑

 

 

一身上の都合で、1年と3ヶ月という短期間で退職するに至りましたが、

森社長に叩き上げていただいたお陰で、新卒フリーで音楽ライターをしているだけでは到底知り得なかった

クラシック音楽業界の概ねの仕組み……みたいなものも、体感することができました。

 

また、実力も人柄も申し分ない

プロフェッショナルな同世代アーティストたちの仕事ぶりを間近で見て、

マネージャーとして支えられた経験はこの上ない財産となりました。

アーティストのファンの皆様にも、私にまで温かいご声援をいただき

本当に感謝感謝です……!! 

 

今後の活動の方向性や新たな目標も見えて、森音楽事務所への入社は大きな分岐点となったと確信しています。

本当にお世話になりました。そして、皆様と今後もご縁が続くよう、これからも精進します。

 

事務所の素晴らしいアーティスト達については、今後追って記事にしていきたいと思っています。

本当に皆さん格好いいんですよ~!読んでね。

 

退職に伴い、実家のある兵庫県に完全帰省しました

f:id:classic-qupid:20171001213831j:plain 何度も見上げた東京の空

 

東京を離れるのは退職せざるを得ない理由でもありましたが、

そうでなくても、単純に

東京もういいかなーとも思ってます。笑

7年も暮らしましたし。

 

今の自分が東京で手に入れられるもの、見聞きすることができるものは

全て自分のもとに集まった感覚があるので

一旦区切りをつけて、懐かしくも新しい次のMAPへと進みます。

次住むときは、もうちょっと私が成熟してからですね。もろもろね。

 

とはいえ、東京には高頻度で(月1くらい)戻ってくる予定なので

面白そうなことがあったらどんどん首突っ込んで行こうと思います!

渾身の企画リサイタルの開催など、ぜひ教えてください♪

もちろん兵庫をはじめ、近畿・関西方面のみなさまも

改めてよろしくお願い申し上げます。

とりあえず地元で、前々からあたためていた

「地方×クラシック」、いろいろ実験してみたいと思っています。

 

 

ピアノ演奏活動を本格再開します

 

森音楽事務所で若手のトップアーティスト達と交流したり、その活躍を間近で見守っているうちに
「やっぱり私もピアノ弾きたいなぁ…」という気持ちがムクムクと膨らみました。

この日本社会で演奏メインで食べていける、

ごく一握りのプロフェッショナルたちの視点や音楽の捉えかた、本当に勉強になり

それを自分の音楽にも取り入れていきたいと思うようになりました。

 

そして、ちょうどそんなことを考え始めたタイミングでご縁をいただき

今月(もう今週末なんですけど!笑)

7日と8日に北海道でピアノ演奏をすることになりました! 

 

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f:id:classic-qupid:20171001174738j:plain じゃーじゃん!

どちらも、フラワースタイリストの栗林ゆかさんプロデュースです。

森音楽事務所ともご縁をつなげてくださった恩人であるとともに、姉のいない私にとって唯一の姉のような存在です。

 

そして今回の北海道公演のパートナーは、こちらも大切な朋友。

大学時代からの相方、中村ひとみ氏と一緒に”Duo Hitomi(デュオ・ヒトミ)”として

4手連弾をお届けします。

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再始動にあたり、今をときめくカメラマン山田翔さんに撮影していただきました!

 

公演詳細などDuo Hitomiのホームページよりご覧ください。

Wixでのホームページ作成も慣れたもので、6時間ほどでがしがし手作りました。

duohitomi.wixsite.com

 

あと、アメブロもあるよ!よかったらこちらもご覧ください♪

 

ameblo.jp

 

 

おわりに

 

さて、案の定長くなりました…ここまで読んでくださってありがとうございます。

いろいろと変化がありましたが、これからもどんどん変わっていくと思います。

価値観の変化だけでなく、物理的な環境の変化にも期待しているので…。 

(コン活だけじゃなく婚活的なところでもね、それなりに)

 

私がこれから、何を成せるかはわかりません。

もはや大学生時分のような壮大な夢は抱いていませんが、

大切にしたいものを見失わないようにしながら、ひとつひとつの事柄に誠実に取り組めば

おのずと音楽業界での自分のポジションというか……人生の在りかた、みたいなものが

見えてくるんじゃないかなと思っています。

 

まだまだまだまだ信じられないほど未熟ではありますが、これからも温かく見守ってくださると幸いです。

それでは今回はこのへんで!

 

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北海道行ってきまーす!

 

 

街中無料コンサートを観に行こう!ヤエチカを彩った「ルピナス・カルテット」のクリスマスメドレー(八重洲地下街クリスマスミュージックライブレポ)

 

街中「コン活」のススメ♪

 
メリークリスマス! 
 

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クリスマスシーズンは、楽器奏者(特にクラシック系)のお仕事が増える季節。
街中でクリスマスソングが流れるこの時期、音楽ホール以外で生演奏が聴ける機会も急増します。
商業ビル内やホテルのロビーなど、偶然通りがかったことのある人も多いのではないでしょうか。大体が開放スペースでの演奏なので、無料で聴けてしまうのも嬉しいところ。
 
そんな贅沢&耳福すぎるこの機会、「コン活(=コンサート鑑賞活動)」を謳う当ブログが放っておくわけにはいきません! ということで。
 
八重洲地下街(通称ヤエチカ)のメイン・アベニューで、12月21日から24日にかけて行われていた
「クリスマス ミュージック ライブ」に足を運んできました!
 

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特設ステージが組まれています。ホワイトツリーもあって雰囲気抜群。
 

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私が行ったのは、12月23日。
「ルピナス・カルテット(Lupinus Quartet)」が演奏をする日です。
 
 

https://pbs.twimg.com/profile_images/510797771809386496/C7VbopyW.jpeg

ルピナス・カルテット(通称ルピカル)。画像はTwitterアカウント(@lupinusquartet)からお借りしました。
(最近ご縁があって知り合ったフラワースタイリストの栗林ゆかさんがプロデューサーを務める弦楽四重奏団だったから、という理由もあります。栗林さん、ご紹介いただきありがとうございます!)
 
4人中3人が桐朋学園大学の卒業生とのことで
私の先輩にあたります。
 
 

公演の様子 

 
2公演あったのですが、予定もなかったので両回とも聴かせていただきました。
1公演目は、会場を俯瞰すべく後ろのほうで鑑賞。
 

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始まる前からこのお客さんの数!

ステージ前に客用椅子が40脚ほどあったのですが、開演20分前には全て埋まっていました。

 

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プログラムはオールクリスマスソング。

所々MCを挟みつつ、J-POPから洋楽、「ジングルベル」「きよしこの夜」まで、計10曲ほどを30分間たっぷりと聴かせてくれました。

その中にはメドレーもあったので、実際にはもっとたくさんの楽曲を聴くことができました。盛りだくさん……!

 

耳慣れたクリスマスソングとはいえ、演奏された弦楽四重奏用アレンジは技巧的なエッセンスも散りばめられつつ、それぞれの楽器の良さが活かされたものばかり。

楽曲に安易なカバー感を感じることもなく、弦楽四重奏の奥深さを充分に堪能させてくれました。

 

* * *

 

4人ともPA(音響)を通してもうるさくならない、まろやかな音色の持ち主。

息のぴったり合った四重奏が「癒しのハーモニー」となって、メイン・アベニューをじんわりと包んでいき、

ステージから少し距離を置いて立っていた私でさえ、あまりの心地よさから「ずっと聴いていたい」と思わせられました。

音色の吸引力によって、お客さんの数もどんどん増えていきます。

 

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子どもを肩車するお父さんがたくさん出現!(笑) 

ずっと聴き入っていたのは、座っているお客さんも含めて70〜80人くらい。

お客さんは増えることはあっても、開始時より減ることはありませんでした。

総勢300人くらいは足を止めたのでは? というほどの盛況ぶり。
その中で聴いていた、幼稚園くらいの男の子とお父さんが「きれいな音だねえ」とにこやかに感想を共有していました。
 

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メイン・アベニューの通路いっぱいに溢れるお客さん。

 
* * *
 
2公演目は客席に座って鑑賞しました。
 

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1公演目はマイク越しで響きを聴いていましたが、この距離感だと生音を直接拾うことができます。
プログラムは、両公演おなじ。
 
後方でも音に魅了されていた私。座ってしまうと完全にヤエチカにいることを忘れ、
音楽ホールにクリスマスコンサートを聴きに来ているかのような気分になりました。
観客が後ろにどれだけ集まっているのか確認するのも億劫になり、演奏に集中……。
 

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終演後には撮影会も行われていました。
 
これを書いている今でも、会場で聴いたジングルベルが頭のなかで鳴り響いています。
思い出しても充足感がじんわりと心を満たす、音楽に浸った30分でした。
(初夏にはアルバムも発売されるそう!)
 

「ルピナス・カルテット」終演後コメント!(メンバー紹介も兼ねて)

 
終演後、コメントも頂いてきたので掲載します。

 

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「普段、生演奏を聴く機会ってなかなか無いですよね。なので、偶然通りがかった人でも気軽に立ち寄れる場所でのコンサートは、生演奏に親しんでいただくいいきっかけになったのではないかなと思います。30分間でしたが『楽しかった』とお客さんが思ってもらえるように、思いを込めて演奏しました」

――松本由梨さん(1srヴァイオリン)

 

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「通りがかった人が立ち止まって聴いてくださっただけでなく、私たちの演奏を聴くためにわざわざ足を運んでくれたかたもいらっしゃったようで、本当に嬉しく思っています。

ルピナス・カルテットの由来となった『ルピナス』というお花の花言葉は『いつも幸せ』。演奏を聴いたみなさんが少しでも幸せな気分になってくださっていたら嬉しいです」

――佐藤麻衣さん(2ndヴァイオリン)

 

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「みなさんがあたたかく聴いてくださったので、演奏するのがとても楽しかったです! ありがとうございました」

――平井麻奈美さん(チェロ)

 

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「普段の演奏会ではクラシック音楽や映画音楽なども織り交ぜているのですが、今回はオールクリスマス曲でプログラムを構成しました。クリスマス曲だけの演奏は初めてだったのですが、弾いている私たちもクリスマス気分を味わえて楽しかったです」
――安藤さゆりさん(ヴィオラ)
 
 
* * *
 
 
 
本日はクリスマス当日。今日を境に、もしかしたら街中での生演奏は減少してしまうかもしれませんが
もし生演奏の場面に遭遇したら、時間に余裕があるときはぜひ立ち止まって耳を傾けてみてほしいです。
「コン活」は、ホールに入らずともできますよ!
 
 

最後にお知らせ。若手クラシック音楽グループtogetterつくりました

 
 
ルピカルさんのような、聴き手の近くに本格生演奏を届ける活動をしている
若手クラシック音楽奏者グループの閲覧用togetterチャンネルを作ってみました。
 
 
SNSを積極的に活用しているクラシックグループアカウントを一覧で見られたら、これから「コン活」したい人にも便利だろうなと思ったんです。
編集自由なので、推しているグループがある人や、我こそは! というグループメンバーのかた、

宣伝になるかも? なので、どしどし登録をお願いします!

 

【写真いっぱいレポート】高校同期とのヴァイオリンデュオコンサート♪【12月20日】

遅ればせながら

12月20日、ヴァイオリンデュオコンサートが無事に終演しました!

 

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(連弾しているのではなく、踏メクリストさんです笑)

 

3人の予想よりたくさんの人が見にいらしてくださり

本当に本当に感謝しております。ありがとうございました♪

 

会場はSTUDIO VIRTUOSI (スタジオ ヴィルトゥオージ)

新大久保から10分弱歩いたところにありました。

 

 

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私は初めて入ったのですが

明るい木目調のあたたかな空間に思わずほっこり。コンサート前の緊張を視覚からほぐしてくれました。

 

* * *

 

今回のプログラムでは、

前半で サラサーテ/ナヴァラ

後半で モシュコフスキ/2つのヴァイオリオンとピアノのための組曲

をメインに据えながら、

耳なじみのいいメロディーを持つ小品たちをたくさん散りばめてみました。 曲数、全部で10曲! 結構盛りだくさんでしたね。

 

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赤いドレスで統一。

 

後ろの看板、お客さんも思わず二度見してしまったのではないかと思うのですが

本物の笑福亭鶴瓶さんですよ。

中西里栄ちゃんが以前、鶴瓶師匠とお仕事で共演したそうで

コンサートのために大きなお花を送ってくださいました……! びっくり。

 

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コンサート会場が、文字通り華やかに。

本当に感謝です……!!

 

 

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私たちの無茶ぶり&直前変更にも堂々対応してくれた

素晴らしきスタッフさんとも記念ぱちり。(みんな同い年!)

 

* * *

 

 

「コンサートに行き慣れている人も滅多に行かない人も

同じように楽しんでもらえるといいね!」という3人の想いから、

今回のコンサートはいくつか工夫した点がありました。 

 

1.プログラムノートっぽくないプログラムノート

 

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プログラムに挟み込むかたちで、B5サイズのプログラムノートを作りました。

コンセプトは、「鷲尾仁美からみなさんへのお手紙」。の割にブログの宣伝とか入っているけど……(笑)

(コンサートきっかけにこのブログに訪れてくださったお客さん、やっほー!

よく検索してくださいました! また来てね!) 

 

内容は、MCで喋ったらスベりそうなことにしました。

 

♪2つのヴァイオリンとピアノのための組曲

『つむぐ、織りなす……』 これは今、私が書きながら食べている「紗々」というチョコレート菓子のコピーなのですが、この曲全体を表す言葉としてもぴったり。淡く変化していく調性のなか2つのヴァイオリンとピアノが美しい旋律をつむぎあい、豊穣でしっとりとした4つの音楽を織りなします。

 

紗々とかどうでもいいー! ってなるところを

開演前の暇時間に読んでもらえたら、ちょっとクスッと笑えそうじゃないですか?

普段滅多にコンサートへ来ないのに一人でいらしてくれたお客さんも多かったので

「エアおしゃべり相手」になれたらいいなと思って書いてみました。

面白がっていただけてたら幸いです。

 

2.MC中にピアノでBGMを演奏

 

短い曲が多いのに、同じくらいの長さのMCを挟むと空気が弛むのではないか? というキケンから

前半に3か所用意したMCコーナー、お喋りは里栄ちゃんと里美ちゃんにお任せして

私はBGM代わりにピアノをずっと弾いていました。

既存の曲に、即興を適当に絡めて。そういうの好きなので……(笑)

結果、テンポよくMCも進み、なかなか良かったのではないかな? と自画自賛しています。

 

後半は私もMCに参加。

 

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3人の出身校である

兵庫県立西宮高校音楽科の思い出をお客さんと共有して盛り上がりました。

男女比率3:37とかね……。やはりテッパンネタでした。

 

* * *

 

観に来てくださっただけでも感謝なのに、

ポインセチアのお花を贈ってくれました~! やよいさんありがとう!♡

 

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そしてお客さんとして観に来てくださった

takuiさん(@fl80_yshrcis)がレポートを書いてくださいました。ありがとうございます♪

普段書く側なので、書かれるのはなんだか気恥ずかしいですね(笑)

2015.12.20 稲岡里美・中西里栄・鷲尾仁美 3人の演奏会

 

 

このコンサートに向け、久しぶりにしっかりとピアノをさらったので

はじめの1週間はあちこち筋肉痛に見舞われました。(どれだけ練習してなかったんや…)

でも、やっぱり楽しいんですよね! 曲への理解も深まるし。

アンサンブルは特に、相手と深く繊細にコミュニケーションを重ねていく毎に曲が見違えていくのが快感です。一緒にやってくれた里栄ちゃん、里美ちゃん、本当にありがとう!

 

 

今後、どんな仕事をしようと

演奏は続けていきたい、という思いを新たにした日でした。 

おしまいっ!

 

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( 打ち上げ会場にて♪)

【おしごと】某TVドラマ作品のピアノ吹き替えをしてきました。

昨日のおしごとの話。

私のピアノ演奏、ついに電波に乗っちゃいます。(ひゃー)

 

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これは音だけ収録しているところ。アップライトピアノの前で身体をくねらせているのが私です。

まだ情報解禁前なので、私から詳しいことはお伝えできないのですが

いわゆる「ピアノ吹き替え」です。

ピアノの弾けない役者さんに代わって、演奏音源と弾いている手元のアップを2曲提供してきました。

 

今回は友人の代打でした。(声を掛けてくれてありがとう!)

なので、同じ役者さんにも関わらず、曲によって友人の手(演奏)と私の手(演奏)が出てくる……という怪奇現象が起こります。

違和感がないことを祈るばかり……。(笑)

 

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私の右手。小指が短めなんです。

 

はじめての経験でしたが、無事1テイクで終わらせられてホッとしました。

映像を撮影したら毎回モニターで確認するのですが

左手に酷い弾きグセを発見……!

大学の頃みたいに根を詰めて練習しなくなったことで、以前よりクセが現れやすくなったのでしょう……。泣きたい。

 

愕然としましたが、演出さんや監督さんが指摘しなかったこと、そしてスムーズに撮影を進めることのほうが大事だと判断したので

1テイクで終わらせてしまった、ともいえます。

(まあ実際に使用されるのはほんの十数秒、手のアップに至っては数秒だと思うので、そんなにじっくり見なければ大丈夫かな……? という希望的観測もあったり。)

 

音声を録ったあとは、私の音源で演技をする役者さんにアドバイスをする役目があります。

私からは、主にこの2点を伝えました。

 

●肩に重心を持ってこず、腰まわり(丹田)をどっしりするつもりで

●手首でカウントせず、鍵盤移動はスライドさせるように

 

ゆったりした曲ばかりだったので、逆に難しかったのではないかなぁ…。

 

最初はどこかぎこちなかった演奏姿でしたが、そこはさすが役者さん。

私のお節介アドバイスをみるみる吸収し、あっという間に「ピアノが上手な人」の動きになりました。

セリフも覚えて、演出監督さんの指示にも即座に応えて……なのに、どこにキャパが余っているのでしょう。適応力の高さにただただ尊敬のまなざしを送っていました。

 

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役者さんの写真はもちろん載せられないので、また私ですみません。(笑)

 

番組名や放送日時は、また解禁され次第お知らせする……かも。

卒業してから本当に練習していないから クオリティはあんまり期待しないでやってくださいね……?

今回は技術的にそこまで難しくない曲だったので、引き受けることが出来たんです……。

 

でも今年度になって、昔弾けたものがどんどん弾けなくなるのはやっぱり辛いと感じていたので(アイデンティティーの消失、的なね)

こうして演奏の機会をいただけることは非常に嬉しいし、有り難いし、奮起させられます。

久しぶりに映像で自分の手のフォームも再確認させられたので、これを機に、卒業当時くらいまでには腕を戻したいところ。がんばります。

 

と、実は今年12月と来年1月、それぞれコンサートの伴奏をお願いされているのです。(いずれも都内)

たった今、12月のほうのチラシデータを頂いたのでぺろっと貼っておきます。

 

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ヴァイオリンの2人は高校(兵庫県立西宮高校音楽科)の同級生です♪

 

 

また改めて告知しますので、私の演奏に興味を持ってしまった物好きなかたはぜひ今後のブログ更新に注目してやってくれると嬉しいです。

 

ではでは!

芸劇が吼える、25年目の『トゥーランガリーラ交響曲』(『東京芸術劇場開館25周年記念コンサート ジョワ・ド・ヴィーヴル―生きる喜び』レポート②)

東京芸術劇場25周年記念コンサート『ジョワ・ド・ヴィーヴル―生きる喜び』レポート、後編です。

前編はこちら。

 

classic-qupid.hatenablog.com

 

 

 

第二部:希望と愛

 

玉虫の羽音が聴こえる。

独特な奏法やリズムを不規則に取り合わせた、小出稚子さん作曲「ウィンド・アンサンブルのための『玉虫ノスタルジア』」が、第2部のはじめに演奏された。

捉えるのが難しいサウンドだが、不思議と耳なじみはいい。

玉虫色特有の、ぬめりと湿ったような光沢が音の中に融けているのを見つけた。

 

続いては、ストラヴィンスキーの組曲『火の鳥』(吹奏楽編曲版)。

存在するいきものである「玉虫」から、想像上のいきものへ――。ここにも鈴木優人さんのスマートな発想が光る。

静かに羽音を立てていた先ほどとは一転、大きな翼が力強く天を駆け、鮮やかに展開していく。

艶やかで夢想的なメロディーから楽器がビリビリと金切り声をあげる激情の瞬間まで、全曲を表情豊かに、芸劇ウインド・オーケストラは圧倒的な集中力で駆け抜けていった。

 

* 

 

コンサートの最後を飾るのは、メシアンの「トゥーランガリーラ交響曲」

全10楽章、演奏時間は約80分という超大作。

しかもタイトルが「トゥーランガリーラ(=サンスクリット語で、「愛」「喜び」「時間」「運動」「生と死」など多義的な意味を持つ)」という、なんともとっつきにくいもの。

 

しかもこのメシアンという作曲家、音と色の共感覚の持ち主で、今までクラシック音楽史上に存在しなかった独自の理論を創り上げ、作品に反映させた人でもある。

そんな一筋縄ではいかないところに、『超人的・宇宙的規模の無限なる愛の喜びが表現されている』と言われても……と、普段の私なら、その抽象的すぎる作品テーマに目を白黒させてしまうところ。

 

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しかし前2曲で、玉虫の繊細に色を変える上羽の音を、そして架空の不死鳥を自由にイメージしていたことで、私の想像力の翼はすっかりたくましくなり、

東京交響楽団の明瞭なサウンドも相まって、メシアンの音楽に乗ってどこまでも高く飛んでいくことができた。

「トゥーランガリーラ」という壮大な概念を、すっかり受け入れられる不思議。これも鈴木さんの計らいなのだろう。

鈴木さんはどのコンサートでも、聴き手の想像力をぐんぐん伸ばし、音楽の風に乗って飛翔する楽しさを教えてくれる。

 

 

長く続いたメシアンとの「愛について」の旅も、フィナーレが近づいてくる。

『トゥーランガリーラ交響曲』最終楽章、全楽器が渾身の力をふり絞って響き渡るとき、ホールの壁も大きなスピーカーになったように鳴動しているように見えた。

25年間、絶え間なく生まれ続けてきた名演が染み出し、曲に溶け込むかのように。

 

東京芸術劇場が鳴り響く。25年の間に出演した、すべての芸術家による大合奏。

全員が音楽への愛に喜び震えている。メシアンが目指した『宇宙的規模の愛の表現』が、ここに実現していた。

 

 

響きのなか、芸劇が吼える。

 

「まだまだ25歳! 私はもっと進化する!!」

 

同世代といえるホールの心からの叫びに、私も奮い立たされた。

 

 

http://www.geigeki.jp/house/images/concert.jpg?1410

(画像は東京芸術劇場HPよりお借りしました。) 

 

 

この日はその後、友人の弾き語りを聴くべく

新宿歌舞伎町の地下ライブハウスへ。

 

歌舞伎町の地下で

ピアノとギターを鳴らして「愛」を歌う友人を見つめながら、

「宇宙規模の愛」へのはじまりを感じた。

 

 

 

鈴木優人さんに導かれる――祈り、感情、時間の旅路(『東京芸術劇場開館25周年記念コンサート ジョワ・ド・ヴィーヴル―生きる喜び』レポート①)

 

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着席し、プログラムを1ページめくる。

 

オードブル―――『祈り』

色とりどりの山海の珍味11品を、即興演奏の味付けで。

まるで踊りだしたくなるようなハーモニー。

 

お魚――――――『希望』

人一倍遊び心と夢に溢れた東西二人のシェフの競演。

「玉虫」と「火の鳥」を添えて。

 

お肉――――――『愛』

1990年にちょうど改訂版が出版された25年熟成の「トゥーランガリーラ」。

壮大な愛の歌は、まさに新しい時代の祝宴にふさわしい作品です。

 

(鈴木優人さん著)

 

フルコースのお品書きを見て、胸が高鳴った。

なんてわくわくする表現なのだろう!

 

ということで、フレンチ・レストラン『東京芸術劇場開館25周年記念コンサート ジョワ・ド・ヴィーヴル――生きる喜び』に足を運んだ。(11/1)

 

「Salonette」の麻衣さんとともに伺わせていただきました。(いつも本当にありがとうございます!)

 

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正直、プログラムをめくるまで

「メシアン」「モテット」など、普段聴く機会の少ないものたちを前に少し気おくれしていた。

しかし、”複雑で、少し知識を要する”―――クラシック音楽とフランス料理の共通点で結びつけた粋な計らいにより、私の抵抗感はみるみる薄れていく。

 

「そんなに難しく考えないで? まずは一緒に楽しみましょう。」

 

そう優しく声をかけられたような心地。この記念コンサートは、東京芸術劇場に足繁く通う愛好家以外にも広く開かれているのだなと感じる。

 

お品書きの文章で私たちをもてなしてくれたのは、鈴木優人さん。

 

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(画像は鈴木優人さんTwitterのプロフィールよりお借りしました。)

 

このコンサートのアーティスティック・ディレクターであり、今日は指揮者と、ポジティフ・オルガン奏者として出演する。

ほかにも作曲、舞台演出など手広く仕事をされていて、その視野の広さによる柔軟な発想が、今回も私たちの手を引き誘ってくれた。

 

第一部:祈り

 

舞台の頂上近くに鎮座するパイプオルガン、舞台上にはバッハ・コレギウム・ジャパンの合唱団員、そしてポジティフ・オルガン。これらを自在に組み合わせ、14世紀の作品から現代の曲までを交互に歌い紡いでいく第1部。

 

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(ポジティフ・オルガン。画像は盛岡市民文化ホールさんよりお借りしています。)

 

第1部で取り上げられた作品は、いずれも「祈り」の籠ったものばかり。

イエス・キリストへの賛美、テロの犠牲者への追悼、聖書のことば―――

古今東西のさまざまな想いが、鈴木さんの即興演奏によってひとつに結ばれていく。

 

 

和声が確立される以前の、シンプルだが耳にこそばゆい中世の響きを味わったかと思えば、調性が崩壊した20世紀にタイムトラベル。計算尽くされた不協和音が私たちを襲う。

厳粛なパイプオルガンの音で責められ萎縮した心は、モーツァルトやバッハが美しい和声で救ってくれる。

 

1曲ごとに200~300年単位の時間を行き来しているとは思えないほど自然に構成されているが、合唱やオルガンの美しく神聖な響きはいつも心に問いかけてきて、様々な気持ちを想起させる。

休みなく喜怒哀楽を感じるうち、心の拠り所を探して神に祈る人々にひしひしと共感した。

ダンサーの小㞍健太さんがひとり、私の感情の揺れを代弁するかのように、舞台上で踊り続ける。

 

 

1時間のタイムトラベルからそっと戻ってきた観客たちによる、いつまでも鳴り止まない、じわりと染み入る川のせせらぎのような拍手が耳に柔らかく残った。 

 
 
 
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『新米ピアニスト』あらわる。藤田真央さんの上質なおこめ感!

新米の季節になりましたね。

 

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食欲の秋。お米が美味しいと気になるのは”おかず”。

梅干し、新鮮な生卵とお醤油、いくら、高菜……。

炊き立てのご飯そのままでも充分おいしいですが、上質な新米だからこそ、他の食材を組み合わせて楽しみたくなるもの。

 

そんなピアニストの演奏を聴いてきました。

藤田真央さんです。なんとまだ高校2年生。

 

 

 

 

9月8日、大田区民ホール・アプリコにて行われた

お昼のピアノ・コンサート。

なんと入場無料!

 

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蒲田駅からすぐです~。

 

もう、藤田さんの演奏がいろいろな意味ですごすぎて

私は最初から最後まで白目をむきながら笑っていました。超衝撃。

たった1時間で、彼の宇宙規模な可能性を見せつけられた感じです……。

いやぁ、すごい人がたくさんいるものだ……!

 

「綺麗な五角形」で、誰からも愛される素直な表現にびっくり

 

今回のプログラムは、こちら。

 

モーツァルト:「デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲」

ドビュッシー:前奏曲集より「アナカプリの丘」「雪の上の足跡」「西風の見たもの」

プロコフィエフ:ソナタ第6番「戦争ソナタ」

 

 

性質のかなり異なる作品を組み合わせているにも関わらず、

テクニックや表現が驚くほど安定しているのです。

作曲家ごとの得意不得意もなさそうでしたし、この表現方法が苦手なのかなと感じる瞬間も一切ありませんでした。

(作曲家ごとにムラがあるのって、10代なら割とある話だと思います。プログラムでうまく隠したのかもしれないけど……それでもすごい!)

 

もちろん、精神の脆さからくるようなミスや焦りなども皆無。

安定しているからといって没個性的なわけでもなく、作品自体の魅力が損なわれない程度に「藤田色」も滲み出ていました。

 

『技術、表現、魅力、安定感、レンジの広さ』のように、彼の能力を細かく分けて五角形に表せば

とても綺麗な形になるでしょう。文句のつけようがないとはこのことです。

このバランスの良さ、小学生のころから様々なコンクールで賞を総なめにしているのも納得。

 

あまりに完璧すぎたので、「この子は師事している先生のクローン(=自分の考えではなく、先生の指示するままに弾くタイプ)なのか?」という疑念さえ生まれるほど。

ですが、アンコールを聴いた私はまた白目をむいたのでした。

 

ヴァイオリニストのクライスラーが作曲した「愛の悲しみ」。

ラフマニノフがおしゃれに編曲したものは存在するのですが、今回藤田さんが弾いたのはもしかして、さらに藤田さん自身がアレンジしたものかな?

高度な技巧と、弾き手の音楽的センスが問われるアレンジを、いとも簡単に、心から楽しんでいるような余裕のある演奏で魅せてくれて脱帽。

キラキラ感溢れる、ロマンティックでムーディーな「愛の悲しみ」、初めて聴きました。

こういうアンコールピースばかりを集めたCDを藤田さんが出してくれたら、絶対ヘビロテする……! 

うう、一瞬でもクローンとか思ってすみません……!!

 

上質な新米だからこそ

 

新米の話へ戻りましょう。

 

今時点の藤田さんが持つ音楽は

「とても新鮮で上質な食材を、そのままいただいている」ような聴き心地だったんです。

まだ若いから何にも染まっておらず真っ白。でも既に高水準で、安定している。

クセのない、作品に誠実な演奏。そしてみんなに愛されそうな笑顔!

それがなんだか「炊き立ての新米」を連想させて……。

 

これだけでこんなにおいしい演奏と、たとえばヴァイオリンを併せてみたら?

ピアノ3重奏で複雑な味わいにしてみるのはどうだろう。

いっそ2台ピアノは? などなど。

彼と「他の誰か」の共演の妄想が、期待と共に膨らむんです。

 

ウェブに載っているインタビューを見るに、藤田さんは幼いころからあらゆる演奏家のCDを聴いてきたようす。

名だたる巨匠から柔軟に学びとり、自身の音楽表現に昇華していくその素直さが、新米を連想させたのでしょうか。

 

これから彼が音楽をより深く学んでいく過程で、

様々な演奏家との室内楽や伴奏を経験し、古今東西の作品を習得していけばしていくだけ

無限の変化を見せてくれそう。彼がどのような道を歩んでいくのか楽しみです!

 

最後に、藤田さんはCDも2枚出しています。いつも面白い視点からクラシック音楽を紹介してくれるNAXOS JAPANさんより発売中。(ナクソスさんのファンすぎてこういう表現になります。あしからず)

 

 

新米のような演奏、ぜひ実食して確かめてみてください!

 

 

……にしても、次から次へとすごい才能を持った人がたくさん出てきます、音楽業界。

もっといろんな人の耳と、縁がむすばれますように……!