19世紀サロンを垣間見た一夜。(「Hisaka Iio × Kasumi Hirose チェロ×ピアノコンサート」レポート)
さて、今回もTheGLEEさんです~!
ところでTheGLEEさんは出演してくださる演奏家の方を募集しているみたいですよ。
詳しくはコチラをご覧ください。
(ご連絡の際は、鷲尾仁美のブログを見たと一言お伝えくださると嬉しいです♡)
今回ご招待いただいたコンサートは、こちらでした。
今までTheGLEEさんでいろいろ聴かせてもらったなかで、「聴き手に配慮したプログラム構成」という点において、選曲が断トツに上手いなぁ…と思った公演でした。
やはり場数の違いなのでしょうか…。
チケット完売も納得です。
そんな素敵なプログラムはこんな感じでした。自分のためにも書き記しておきます。
≪前半≫
エルガー/愛の挨拶
サン=サーンス/動物の謝肉祭より「白鳥」
ベートーヴェン/ヘンデルの「見よ勇者は帰る」の主題による12の変奏曲
マイヤーズ/カヴァティーナ
カザルス/鳥の歌
たとえば、「見よ勇者は~」は、テーマが伊東四朗の「にんにきにんにん」なわけですが(知らない人はIQサプリでググりましょう)、
耳なじみのあるメロディがいろんな姿へと変容していく様は聴いていて純粋に面白くて、たとえこの曲自体を聞いたことが無い人がいても自然と惹きこむことができるんじゃないかなぁと思いました。
Beethoven Judas Maccabaeus Variations - YouTube
曲調を統一した組み合わせも聴きやすく、おふたりの音色の細やかさやテンポ設定も相まって、前半はかなりリラックスして聴くことができました。
後半は、おふたりともお色直し。
前半のイメージを刷新するまっ黒なドレスに身を包み、曲もTake Fiveやリベルタンゴ、そしてorientalといった民族系のものまで、様々なジャンルを取り揃えて披露されていました。
≪後半ブログラム≫
Take Five
Oriental
Te te Veux
愛の讃歌
ポロネーズ(popper作曲)
さっきまで清純なお嬢様のような雰囲気たっぷりだったのに、
後半での演奏姿には真っ赤なルージュのような色気が滲んでいて
同じ女性ですがドキッとしました。
(すいませんね、今日写真ないんですよ~笑)
前半のおふたりを見ていて、不意に
19世紀・ロマン派のサロンで社交の花であった貴族の娘たちを想像しました。
むしろ、華奢で麗しい若い女性たちが淡い色のドレスを身に纏い、品よく演奏するさまを見て、思い起こさずにはいられないような。
おふたりともMCの語り口も上品で、所作もゆったりと穏やかだし…。
当時の良家の子女たちは、楽器を習い教養を深め、こんな風に素晴らしい演奏を披露することで社交界に受け入れられ、大人のコミュニケーションを学んでいったのではないかな…。
なんて、演奏を聴きながら、見ながら、ぼんやり考えていました。
(※画像はイメージです)
MCでもお客さんのレスポンスが良くて、演奏者と観客というよりは、ほんとうにみんなの心の距離が近くにいてサロンのよう。
休憩中にはお客さん同士が男女親密に談笑しているのも、なんだかその時代の光景っぽいな、と思いました。
(性格悪いと思いながらもこっそり耳を澄ましてみたら、女性は楽器奏者のようで、にこやかにコンサートの営業をしていました。やっぱりそれっぽかったです。)
いやぁ、これは私があまり体験してこなかった演奏会の空気でした。
おふたりともとっても繊細な甘い音を持っていて、最初のうちは、その見た目に聴覚が影響されているのかな…と思っていたのですが 、聴いているうちに気が付きました。
おふたりとも、力が抜けているんです。
演奏が力んでいない。腕や上半身をしなやかに無駄なく使っているから、迫力のある音を出すときもまるで白鳥のように優雅で、見苦しさがない。
う、うううう羨ましい…私の演奏はどちらかといえば山本貴志さんっぽいので…。
Takashi Yamamoto (4/4) - Winners' Concert (9/21 ...
(山本さんが見苦しいと言っているわけではないですよ決して!ただ非常にリキんでいるのはお判りいただけるかと思います。そしてここまでオーバーでもないんですけどね。山本さんがオーバーだと以下略)
今回、満席公演だったためやむを得ずPA室での鑑賞となり、
おふたりの音楽を語れるほど聴こえてこなかったのがかなり残念でしたが……。笑
でも、PA室にずっといたからこそ、この独特なサロンの光景に気付けたのかもしれません。
とにかく、私のしらない(といいつつ、きっとすぐ傍にある世界)を垣間見ました。どきどき。
この前のSalon de Mでも痛感したけれど、
“美しい”って、それだけで素晴らしいなぁ…。
顔の造形は今さら変えられないけど、所作やメイクくらいは常に意識して綺麗であろう!と、唯美主義な仁美さんは美意識を最大まで高めた一夜だったのでした。